愛宕さん(愛宕神社)                         あたごさん(あたごじんじゃ)

 2003(H15)年5月
はじめに
 わが町・石部町では町内全域において、7月23日に愛宕神社祭がある。
町内会では、毎年交代で「愛宕さん当番」が決められていて、この愛宕神社祭までに京都の愛宕神社へ代参し、幣札(お札)をいただき各戸へ配る習慣が今も残っている。
 町入りしてから約30年となるが今年で2回目・しかも還暦と言う節目の代参となることもあって記録として残すことにした。ちなみに初めての代参は子供が小学生のころ家族4人であえぎ喘ぎ登った約20年前のことである。


部の伝承 より転記       (発行・編集=石部町教育委員会)
 町内では通称「あたごさん」と呼ばれ親しまれている。石部町では盛大な行事の一つで、夏の夜の一大ページェントでもあります。
 現在愛宕神社は、大字石部に12か所、東寺、西寺に各1か所の計14か所にまつられています。いつごろからこのように数多くの愛宕さんをおまつりするようになったのか詳しくはわかりませんが、一つには昔石部には何度か大きな火事が起こったためともいわれています。
 皆さんがすでにご存知のとおり愛宕さんは鎮火の神さまといわれています。したがって当時の人々は二度と大火をださないようにとの願いから愛宕信仰を強くしたのだと思われます。
 7月23日にこのお祭りが行われるようになった理由は、愛宕神社の御神体である「将軍地蔵」さまの命日が23日であるところからきているそうです。京都の愛宕本宮では毎月一日、十五日、二十三日に神事が行われています。
 戦後まもなくのあいだ、当日広場では娘さんたちが振り袖姿でいろいろの流行歌を歌って踊ったそうですが、今ではこういったこともなくなってしまいました。
 今日では、当日の一日二日前に字ごとに愛宕神社の周辺の掃除をして、お供えものをします。また参道沿いには楽しい絵を描いた「あんどう(ボンボリ)」を掛け、夕方から点灯してムードを一層盛り上げます。またこのお祭りの日、協賛行事として「石部商工祭」が同時に行われ、花火大会やその他いろいろな催し物があり、夕涼みを兼ねた多くの人々で町中は埋まり、暑い夏の一夜を楽しく過ごします。

代参記録
 今年3月に還暦を迎えたばかりだが、自分の体力を試す絶好の機会となるべきとの思いから京都・愛宕神社(本宮)代参に挑戦することにした。
 5月の空に鯉のぼりが泳ぐ時期での代参は、早朝の5時ちょうどにマイカーで家を出る。清滝のバス停で案内図を確認したあと登山口となる清滝・金鈴橋の駐車場に着いたのが6時20分であった。駐車場は、まだ閉鎖されており人影もないことからたまたま通りかかったパトロールカーのお巡りさんに開錠時間を聞くと7時過ぎと教えてくれた。時間があるので仕方無しに、清滝川の水辺におり開錠されるのを待つことにした。

 やがて開錠されると、駐車場の管理のおじさん曰く、これから往復に要する時間は5時間程度をみておいた方が無難でしょうと言うのだ。金鈴橋を渡ると4キロメートルの案内標識が目に飛び込んでくる。参道の入り口の鳥居を7時15分にくぐって、いよいよ還暦・60歳の体力を試す挑戦への突入だ。参道入り口の鳥居をくぐるのと同時に「伊勢へ七度 熊野へ三度 愛宕さんへは月参り」の古歌と、一の鳥居から50丁で山頂(愛宕神社)という看板を目にする。歩き出すとすぐさま急坂となり500メートルも歩かないうちに息が弾んでくる。FMラジオの音楽を聞きながら、かつ先を思いやりながらもひたすら歩き続けることに
する。ところが参道を歩くに従ってFM音楽もノイズが大きくなりやがては聞こえなくなってきた。電波状況が極端に悪い道中に陥ってきたようだ。目的地は、標高924メートルに位置する愛宕神社である。
 壷割坂を登りつめ、さらにだらだらとした坂道を登っていると白髪まじりの年配のご夫婦に追いつく。“愛宕さんへは良く登られますか”、と聞くと驚くことに“地元だから週に2〜3回は参拝していますよ”との言葉がオウム返しに戻ってくる。やがて中腹までくると1ヶ所だけの、つかの間だけだが遠くの下界を見下ろせる場所へと辿り着く。ここで大きく深呼吸して呼吸を整えるが相変わらずとめどもなく額からは汗が流れ落ちてくる
 お茶を飲み一服したあと、さらなる坂道に挑戦するとそこには、44丁目付近を「ガンバリ坂」というような看板に目を落としてみる。あとひと踏ん張りの地点までやってきたのだ。
 大きな立て看板だ。「愛宕さん1300年記念石碑建立のご案内」というもので、寄進額30万円・50万円・100万円と高額だ。それでもその傍には寄進者名が名を連ねてあるのをみて奇特な人が多いのに驚ろきながら通りすぎると、そこは本宮直前の鳥居が目前にあった。本宮に辿り着いたのは9時5分であった。1時間50分かかったが無事到着する。
 一通りの願い事を済ませたあと、町内会の戸数分の「愛宕大神」幣札(お札)を買い求める。
一服したあと、帰路に着いたが、途中、元気よく登ってくる中学生・高校生のグループと出会ったが口々に“おはようございます”とか“こんにちは”とすれ違うたびに気持ちよく挨拶をかわしてくれた。彼らの足取りは実に軽やかで、あっという間に駆け下りてくる彼らに再び追い抜かれてしまう。思わず「若いっていいなぁ〜〜」と呟いてしまう。
 帰路は1時間30分で駐車場に辿り着き、清滝川のせせらぎを聞きながら愛妻弁当をほおばることにした。

 後日、幣札を各家庭に配って無事に代参の役目を終えることができ、しかも体力もまだまだ衰えていないという自信が持てたことが大きかった。

*還暦の今年の当番は、意外にも足腰ともなんともなく果たせたが次回の当番の時は、年齢的に も無理かもしれぬ。その時は息子夫婦にお任せせすることになるだろうなぁ。


 清滝・バス停の案内図            金鈴橋             案内標識     
  
                                 (愛宕神社参詣 表登山道 約4Km)
登山口入り口の鳥居          古歌              壷割坂   
  
                                                
  だらだら坂       遠くに下界をみわたせる唯一の場所     がんばり坂      
  
                                                
1300年記念石碑建立のご案内   愛宕神社前の鳥居       愛宕神社(本宮)       
  
                                                
清滝川からの岸辺より金鈴橋を望む