プロポーション石部 B伝統の表情
石部の「こだわり」 
いつの頃からか伝え伝えられ、はるか時を縫って今も生きるまちの伝統。
いにしえ人と現代人の心を結ぶ財産として、これからもしっかりと受け継がれることでしょう。
その証拠に、ほら、人々の表情がこんなにも美しい。



 

 石部町では1月の「鬼ばしり」に始まり、春の「さくらフェスティバル」、「石部祭り」、夏の「愛宕祭り」、秋の「阿星もみじまつり」とオールシーズン、町中を熱くする祭が繰り広げられます。中でも「鬼ばしり」は、まちの大きな伝統行事の一つです。

 舞台となるのは東寺の「長寿寺」と西寺の「常楽寺」。もともと奈良時代に始まったとされる古代の成人式に由来するため、開催日は長寿寺が1月14・15日、常楽寺が同月15日となっています。

 いずれも国宝に指定されている本堂で繰り広げられます。主役は。「鬼子」扮する数え年で15歳の少年たちです。

 いずれも住職の読経に始まり、鬼子がその読経を真似ます。それが終ると、二人の鬼子がそれぞれ赤と青の鬼面をかぶります。ちなみにこの鬼面は室町時代の作と言われる貴重な面です。それだけに太刀とたいまつを持つ赤鬼、両手に槍を持つ青鬼の姿はリアルで、昔話の世界へ誘ってくれるようです。

 住職の声があがるとともに、大太鼓、ホラ貝、ワニグチの音が本堂に響きわったかと思うと、鬼子が飛び出します。そして須弥壇を3回走り回る! 見物人はその迫力に思わず息をのんだり、微笑んだり・・・。

 昔、この祭は悪鬼悪霊追放と家内安全を祈願して、1週間も続けられたとか。七日七夜にもおよぶ神事に費やす人々のエネルギーは、いかばかりかと感心してしまいます。

 そんなパワーは現代も変わりないかも知れません。祭に頑張る光景から、並々ならぬこだわりや情熱がひしひしと伝わってきます。



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  (出展=石部町発行「1998町勢要覧」より転記)
           初版=2000.6.10